top of page

​永井君の絵

木下 義謙

 大分以前のことでありましたが永井君が毎日の連合展に出した自画像、また其の後一水会に出品して最高票で優賞を得られた「母の像」等未だにはつきりと私の記憶に残つて居ます。此等の絵は永井君のたゆまざる努力が優れた効果を上げ得た傑作と思ひます。
 我々長い画壇生活を経る間に周囲には種々なものが矢鱈と有難がられたり、またそれが数年と経たない中にたちまち誰にも顧みられなくなつてしまつたり、時日の強力な淘汰の力が絵画芸術の上に容赦なく振はれて居ることをつくづく感じないわけにはいきません。画家の一生より更に長い長い日月がどんどん沢山の作品を簡単に整理してくれるのです。それで絵を見る場合には先づ永持ちするかどうかを一応考へて見たくなります。
 永井君の絵はそうした立場から私の経験を通して考へても、彼の名の如く生命のナガイ即ち安定度の高い、月日の淘汰に永く耐える絵と私には信じられるのであります。
(1957年6月)

 

≪永井潔画集≫1995年刊より
 

bottom of page